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◆ 地方分権と財政
自治体の責任
  21世紀の県民生活を豊かで明るいものとするためには、 住民の声に真摯に耳を傾け、地域の実情にそった多様性のある施策を展開することが、 地方分権の時代における地方団体の役割である。

借金は限界

 しかしながら、平成13年度末での国・地方の借金残高が 同年度の国内総生産(518兆円)を超える666兆円にも達している中にあっては、容易なことではない。

税制の矛盾
 また、住民生活に不可欠な事業の多くは地方団体が行っていながら、その財源の裏付けが十分ではなく、 国において、地方財政の窮状が十分に理解されていない。住民生活に身近な行政は全て地方団体が行う方が、 きめ細かで、実情に即した、そして、効率的な事業が行えることになる。

財源移譲
 このため、国から地方に仕事の権限を移譲するとともに、これを支える財源もまた国から地方に移譲することが不可欠であるので、 財政・税制改革の必要性が各方面から言われているところである。したがって、行政と議会が緊張のある協力関係をもって、 地方分権を具体化できるような政策を進め、こうした動きが全国的なうねりとなるよう一生懸命に努力しなければならない。
 
◆ 地方独自課税
行革推進
 これまでの地方分権の流れや、窮迫する地方財政の中、国が抜本的な地方財政対策を講じてない現状において、 地方団体が住民ニーズを踏まえ、県民生活を豊かにする施策を展開するには、 これまで以上に行政改革を進め、スリムで効率的な行政運営を行うことが何よりも必要である。

新税の創設
 そうした努力をもってしても、県民生活に不可欠な行政を行うための財源がなお不足する場合には、 地方税財政制度の抜本的な改革を国に一層働き掛けるとともに、県民の理解を得て、新税の創設を検討することも止むを得ない。そうした権限は、課税自主権という形で地方団体に許されているが、 安易にできるものではなく、行政の内部努力に対する県民の理解と、 新税を何に使うのか十分に説明し、理解してもらうことが必要である。
 
◆ 法人課税の現状
神奈川県の税について
 本県の一般会計の収入のうち、半分強が県民の納める県税収入であり、 その県税の中心となっているのが法人事業税である。

法人事業税は40%に落ちこむ

 法人事業税は所得を課税標準としていることから景気動向に左右されやすく、 平成12年度税収(当初)は1,763億円と、ピーク時である平成2年度(4,504億円)の 4割以下の水準にまで落ち込んでいる。

7割の法人が税金を収めない

 この税は、県が行う社会基盤の整備や中小企業対策・雇用対策等の行政サービスに対する対価を 企業が納めるという性格をもった税であり、そのため企業活動のコストとして損金にも算入できるものである。 そうした性格がありながら、最近の実情をみると、7割の法人が法人事業税を納めない欠損法人で、 3割の法人しか負担しない不公平な状況となっている。 こうした課税の仕組みも法人事業税の落込みの要因となっている。

行政サービスは不変

 行政は、企業活動に役立つよう産業基盤の整備を行っており、 リストラによる不安を少しでもやわらげるための雇用対策にも積極的に力をいれている。また、従業員が安心して働ける福祉・医療・教育などの、 膨大な行政サービスを継続的、安定的に行えるよう努力しているが、 それに対して7割の法人がそれに対応するような税負担をしていない現状では、 公平性が保てず、県財政が窮迫してしまう。

サラリーマンは赤字でも納税

 多くのサラリーマンは、家計が赤字になっても、源泉徴収制度によって、 毎月の給料の中から必ず所得税や住民税を支払っており、それが行政を支えている。

日産自動車も日本鋼管の納税額は80万円

 個人とは比較できないほどの行政サービスを受け、財政規模の大きな企業が、資本金が50億円を超えるような大企業、 例えば、日産自動車や日本鋼管のように、県内に広大な敷地を持ち、膨大な行政サービスを受けている、 本県が誇る代表的な企業や、県民の多くの方が銀行口座を設けているような横浜銀行が、企業経営の結果として、 赤字法人となれば、県に対しては、最高でも年間80万円の法人県民税の均等割だけしか納めないで済むのが、 現在の法人課税の仕組みである。しかも、リストラや金利の引下げにより、当期は黒字決算で利益が出て、上場企業では、 約半分の法人が株主への配当も行っているのに、本来の事業以外の不動産投機なども含めて、 過去の決算で欠損金が生じたからといって、それを5年間も損金に算入して法人事業税を負担しない法人がある というのは県民には理解されない。企業の活力維持は大切なことであるが、サラリーマンは借金があるからといって所得税や住民税を納めないで済むというのは 許されていない。企業は地域の主要な構成員であるが、住民が苦しいながらも税金を払っている中にあって、 全ての企業が十分に社会的責任を果たしているのかという思いになる。本当に赤字決算に苦しむ企業や零細な企業は、十分に保護して活力を与えるべきだが、 体力が回復して黒字に転換した大企業には、それ相応の税負担をしていただかなければ、 都市のサラリーマンは黙って税金を払う気になれず、それでは行政が破綻して、県民生活に重大な支障が出る。
 
◆ 臨時特例企業税
やむを得ない措置
 企業は、地域社会の重要な構成員として、県に対して、応分の負担をすべきだが、現在の法人課税の仕組みからすると、 赤字法人は法人県民税の均等割、最高で80万円だが、これだけを納めれば済むことになっている。これが、本当に赤字決算ならば、企業活力の回復を待つということで、十分に理解できるが、 それが、実際は黒字決算でありながら、過去の経営の負債ともいうべき繰越欠損金があるからといって、 これを損金に算入して税申告がゼロになるというのは、体力の弱い中小企業であればそれなりに理解できるが、 行政サービスの受け方が中小企業よりもはるかに大きく、 社会的責任のある大企業の場合も同じというのでは県民には理解されない。
 そうした観点から、当期が黒字決算でありながら、繰越欠損金の控除により、 法人事業税について、当期利益に見合った税負担をしていない大企業に相応の負担をお願いするという臨時特例企業税は、 それなりに理解できる。臨時特例企業税は、現在の繰越控除制度を全面的に否定したものではなく、 実質的にその一部を遮断することは、これまで我が国にも例があるし、 諸外国でも繰越欠損金の半分を認めない制度もあって、制度的には問題はない。

税率に配慮

 税率は、現在の法人事業税の税率(9.6%)よりもかなり程度低い税率(3%程度)に抑えられているので、 税負担への配慮もされいてる。適用期間は、外形標準課税が導入されるまでの当分の間としているが、 税制の不公平さや税収の不安定性について、国が何ら抜本的な対策を講じていない現状において、 地方団体が独自に新税づくりを行うことは止むを得ない。

更なる行政改革を
 ただ、実際に税負担をする主要企業には十分に説明し、理解を得るような努力は続けるべきであり、 同時に、行政改革などの内部努力をさらに徹底し、県民にも理解されるような新税づくりを行う必要がある。
 

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